ロータリエンコーダを作る!(透過型フォトインタラプタ版)
前のエントリの「透過型フォトインタラプタを検討」で、フォトインタラプタもコーデンシのSG214(コーセイオプトエレショップで150円。)に決まったし、台車の取り付け方法も決まったのでArible Design(このエントリ参照)で設計するか。
たまには、CADの設計中画面の紹介。
2Dスケッチ画面で上記のように右端にスリットを作成。中ほどに大きな肉抜きを作成。中心近くにフランジ固定用のねじ穴を作成。ロータリエンコーダ自身の慣性モーメントを下げないといけないので今回は思い切った肉抜きをしてみた。スポーク(円の中心から放射上に伸びる棒)の幅を5mmとしてみた。スリットは、エンドミル(モデラの歯)1mmを使う予定なのでそれに合わせて2度とした。
ロータリエンコーダパターン板の直径は、駆動輪の半径より小さくないといけないので、駆動輪の半径が95mmなのでパターン板の直径は85mmにした。半径で言うと42.5mm。2度ということは、パターン板の外径上での弧の長さは、
L=2xPIxRx2度/360度=2x3.14*42.5x2/360=1.483mm
スリットの内側の弧は、半径40mmとしたので
L=2xPIxRx2度/360度=2x3.14x40x2/360=1.396mm
うむ。1mmのエンドミルで削れそう。
ちなみに、この外径側の弧の大きさ1.483mmは分解能になるのでとても重要な数字。のちのち色々な計算で使うはず。
次にCADの2Dスケッチ上で回転配置機能でスリットを90個、4度おきに配置。肉抜きを8個、45度おきに配置。最後に3mmで押し出しでパーツ完成。大体パーツは短ければ5分10分で設計できてしまいます。
他のパーツもモデリングして、アセンブリ機能で組み立てると上図。黒いのがフォトインタラプタのSG214で白いのはKONDOのサーボ用の反対軸用のベアリングつきフリーホーン。フォトインタラプタは、SG214のデータシートからモデリング。
アセンブリ画面では、「メート」拘束と「アライン」拘束で組み立てます。メートが面と面が向かい合う結合(オフセットをとってよい、オフセット0だと面結合)、アラインが2つの面の法泉の向きを同じにする拘束(オフセット0にすると同一平面になる)。ただし、2つの面が円筒面の場合や、2つの円を選択したときは、円筒または円の軸を同じにする拘束になる。
拘束条件を減らすと回転軸になったり、直動(レールのようなもの)になったりする。拘束条件としてアセンブリ部品ができるのでパーツが仕様変更でサイズや形状が変わってもアセンブリ部品では大抵の場合何もしなくてもイメージ通りの形が維持される。
パラメトリックフィーチャーベースのCADは仕様変更に強くてとっても助かる。
フォトインタラプタの回路設計
フォトインタラプタの回路は、SG214のデータシートの最後のページにサンプル回路があるのでそのままでOK。
抵抗Rと抵抗RLを設計するのみ。
発光ダイオード側の抵抗Rは、電源電圧Vcc=5V、ダイオードの電圧降下をVd=1V、電流をI=25mAとすると
R=(Vcc-Vd)/I=(5-1)/0.025=160Ω
フォトトランジスタ側の抵抗RLは、大きいほど光が通ったときに大きな電圧がOutputに出(Vccに近づく)て、消費電流が小さくなる。ただし、応答速度が悪くなる。応答速度の関係はデータシートの最後のページ左下にある。そのグラフから見て低めの4.7kΩにした。ブレッドボードで実験したところこれより下げるとOutputの電圧が下がりすぎてマイコン側の入力の誤判定の可能性がでてくるのでこの値にした。
そしてモデラ MODELA MDX-20でバンバンカット
上記がパターン板。以前書いたが、MODELA Player4のカッターパスがしょぼくて穴が多いパーツはカットの時間がすごくかかる。パターン板1枚が、切り込み0.3mmで2時間。長い。。ロータリーエンコーダのアームや固定具などが1時間であわせて5時間。
結構かかった。
おまけにポケット加工に苦労した。
MODELA Player4では、普段カットが早いので「縁取り」カットをしている。縁取りカットにしないと部品の周りを四角形に削りだしてしまうためカット時間が大幅に増える。ほとんど部分は縁取りカットでよくて、ここだけポケット加工という指定はできない。しょうがないので縁取りカット後にポケット加工用の別のモデルを重ねてカットしようと思って、わざわざAlibre Designでもう一度ポケット加工用モデルをモデリングして準備していた。が、縁取りカットが終わったところでうっかり部材をMODELAから
はずしてしまった。はずしてしまったら原点がずれるので重ねてカットができない。あわてて東急ハンズで彫刻等を買ってきて削った。上の写真は、彫刻等で彫る前と後。ポケット加工部分もMODELAが縁取りをしているので彫刻等でのカットはかなり楽で正確。ちなみに彫刻等は幅3mmの平刀、525円。彫刻等での加工時間は5分ぐらい。
オシロスコープで確認
上記はオシロスコープで波形を確認したところ。前回の反射型フォトインタラプタによるロータリエンコーダよりもかなり波形が綺麗。前回のが2.2Vぐらいしか出ていないが今回のは4.8Vぐらい出ている。マイコンでは2V以上ぐらいがHighなので前回のではすれすれ。前回より分割数が多いのに方形波になっている。モデラのエンドミルを0.5mmとかにすればまだ分解能があげられるかも(ただフォトインタラプタの発光側スリットも0.5mmなのでやっぱり1mmが妥当か)。
マイコンでカウントできるか実験
最後にマイコンでカウントできるか実験です。プログラムは、前回の反射型フォトインタラプタのときとまったく一緒。
やったぜ!成功〜!今回は割りと順調に作業が進んだなー。
といいたいところだがモデラでのカットに苦労した。それはまた別のエントリで報告します。
あと設計、加工しつつ、「分解能はこれでいいのか、正転逆転は判別できなくていいのか」とかなり心配しながら頭をひねっています。一度落ち着いて精度について考察した方がようかもしれません。(というか設計、実装する前に考察すべきだろって感じですが)